零細業者と過払い交渉
夕方、県内の零細業者とSさんの件で、電話交渉。
この業者は社長が一人だけでやっている昔ながらの
個人金融のようだ。
履歴は意外にもすんなり出てきた。
Sさんは15年近く前からこの業者と取引があったため、
140万ほどの過払いになっている。
わかば「先日は履歴をお送りいただきすみませんでした。
利息制限法での再計算を行ったところ、過払い金が発生
していますので、お返しいただきたいのですが?」
社長「今は店をたたんでる最中なんですよ。
法律も変わってしまって、とてもじゃないけど営業続ける
のは無理なんでね。
それでいくら返せって話しなの?」
わかば「140万です」
社長「えー、勘弁して下さいよ。店たたんでこれから
どうしようかって時にそんなお金ないですよ。」
わかば「仕方ないじゃないですか、違法な金利を
取ってきた結果ですから。」
社長「うちはね、Sさんがどうしても貸してくれって
いうから貸したんだよ。本当は貸したくなかったんだから。
ただ、お客さんの紹介だから、無下にもできないから、
それに気の毒だなっていうのもあって貸したんだよ。
そんな請求受けるあれはないよ」
わかば「当時から色々といきさつはあったと思います。
ですが、利息制限法以上の金利を取った以上、
返さなければならないんです。返して下さい。」
社長「うちはもう利益として計上してね、その分高い税金
払ってるんですよ。Sさんだって、いつも感謝してたんだから、
いいじゃないですか」
しばらく押し問答が続く。
業者の言い分も一部分からなくはない。
だが、依頼者のため、一歩も引くわけには
いかない。
わかば「確かにSさんもその時は助かったかも
しれませんが、高利の返済に窮し自転車操業に
陥ってしまったんです。
Sさんの手元にお金を戻して、何とか平穏な生活を
取り戻して差し上げたいんです。」
社長「・・・。分かりました。そうしたら50万支払うので
それで勘弁して下さい。」
わかば「何とか100万お返し下さい。それであれば
手を打ちますので」
社長「えー、100万? お宅は情けってものは
ないの?」
わかば「ありますよ。だから140万から100万に
減額したんじゃないですか?
分かりました、できれば穏便にと思いましたが、
らちがあかないので、提訴させていただきます。
今後は法廷で裁判官の判断を仰ぎましょう。」
社長「そんなことしたって会社たたむんだし、
ないものはないよ」
わかば「たたむって言っても破産ではなく、任意に会社を
整理するわけですよね?
御社は株式会社ですから、そうなったら、代表取締役に
しっかり責任を取ってもらないといけませんね。」
社長「・・・・・・・・。
分かりました。100万円お支払いします。
どうかそれで勘弁して下さい」
わかば「分かりました。では和解書作ってお送りしますので
よろしくお願いします」
30分にわたる交渉の末何とか100万円の回収に成功した。
ないない言っていたが、実はお金を持っていた。
零細業者は下手に追い込めば一円も取れなくなることもある。
交渉は相手があってのこと、絶対という方法はない。
時には確実に取れるところで和解した方が良い場合もある。
今回はまさにそういったケースと言えるだろう。
見方によっては弱い者いじめのように見えるかもしれない。
だが、依頼人の事を考えれば仕方ない。
我々にとって依頼人こそが全てなのです。