2009年7月14日

7/10 最高裁判決を拡大解釈する各社

昼前、過払い請求訴訟中の顧客 I さんの件で、

武富士の担当より電話が入る。

 

武富士「I さんの件ですが、この方はまず平成9年

に分断が1年半ほどあるので、それ以前の取引に

ついては、時効を主張します。」

 

わかば「!? 期間だけで即座に分断とはみなされ

ませんよ?

カードは返却されてますか? 解約の資料は証拠

として提出できるのですか?

ご本人はまったく解約した覚えなんてないと言って

ますよ」

 

武富士「・・・・・。えー、資料については現在調査中

です・・。

そうするとあくまで一連を主張されるということですか?」

 

わかば「当然です。一連計算のうえ、過払い元金135万円と

利息を付加し、端数カットした160万円の請求になります」

 

武富士「160万ですか・・。

元金はまだしも、利息については、先日(7/10)の最高裁

判決はご存知ですよね?」

 

わかば「ええ、もちろん存じておりますが」

 

武富士「でしたら言うまでもないですが、悪意の受益者に

対する5%利息は完全に否定されましたので、この件も

利息はなしということになりますよね?」

 

わかば「何を言ってるんですか?

勝手に拡大解釈をしないでください。

当該判決が言っているのは、平成18年1月判決以前の

取引について、期限の利益喪失約款があることのみを

もって悪意の受益者とはいえないとしているだけでしょうが?

仮に悪意でないと主張されるのなら、みなし弁済が認めら

れるだけの資料(17条書面等)を出してください。

その上で裁判官がみなし弁済を認めればこちらも

その時は検討しますよ」

 

武富士「・・・・・・。ではあくまで請求額は160万ということ

でしょうか?」

 

わかば「そうです。無理であれば判決を貰いますので

もう電話頂かなくて結構ですので」

 

武富士「・・・、上司と検討します」

 

 

その後、今度は上司と名乗る担当より電話が

入り、同じようなやりとりを繰り返した結果、

160万円で稟議をあげることになった。

 

7月10日に出された最高裁判決によれば、

平成18年1月に出された最高裁判決(シティズ)

以前の取引について、期限の利益喪失特約下の

支払いについては、これを受領したことのみを

理由として当該貸金業者を悪意の受益者であると

推定することはできないとしている。

だがそれは「悪意の受益者」を完全に否定したわけ

ではない。

悪意の受益者でないことを業者が主張するには、

みなし弁済の要件をすべて立証し、さらにみなし

弁済の適用があるとの認識を有し、その認識を

有するに至った事につきやむを得ないと言える

特段の事情があったことを立証しなければなら

ない。

それができなければ、やはり悪意の受益者と

いうことになる。

 

これらの立証を完璧にできる業者などまず

ありえないにもかかわらず、業者側は武富士に

限らず、7/10最高裁判決を都合良く拡大解釈し、

同様の反論をしてくるようになった。

今後は分断や過払い利息の起算点及び悪意性の

否認など、業者による抵抗が一層激しくなることが

予想されるため、業者の揺さぶりに動じることのない、

強気の交渉姿勢がますます重要になりそうです。

 

<平成21年7月10日最高裁判決>

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090710110055.pdf

 

 

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コメント

はじめまして。
とても参考になるので、いつも拝見しております。
ただ、「悪意の受益者」についての解釈が難しくて・・・・
分かりやすくいうとどのようなことなのでしょうか?
参照ページも専門用語が多すぎて良く分かりません。
業者側に有利な判決のようですが、一体どのようなことに
なるのでしょうか?

武蔵さんへ

書き込みありがとうございます。

悪意の受益者に対しては、過払い金が発生する都度、民法が定める5%利息が課されます。
取引年数が長い場合には、この5%利息が結構な金額になります。
反面、金融業者としては、何が何でもこの5%利息までは取られまいと必死です。
よって、業者はこの判決を拡大解釈して、悪意の受益者ではないと都合よく言い逃れようとするわけです。
ですが、記載のとおり、悪意を否定するには、相当の立証を業者がしなければならず、実際には無理があると思います。
そのため、この判決が即業者に有利になるわけではありません。

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